Conference report 2019 Kuching

 第5回アジア太平洋離床カンファレンス in マレーシア

   カンファレンスレポート       日本離床学会 曷川元

 今年で5回目を迎えるアジア太平洋離床カンファレンスは、マレーシアのクチンというところで開催されました。クチンはボルネオ島に位置し、常夏の気候で野生のオランウータンや、世界最大の花であるラフレシアが見られる場所です。会場となったボルネオコンベンションセンターには350名の人が訪れ、世界最先端のプレゼンテーションに耳を傾けました。

世界離床ネットワークのトップであるDale Needham教授による最新エビデンスの紹介に始まり、離床時に必要な評価スケールのエビデンスと用い方、2018年に出されたPADISガイドラインを臨床でどう活かすかという具体的なセッションまで、幅広い話題で聴衆を魅了していました。

今回から一般演題の募集も始まり、アジアだけでなく、ヨーロッパ各国からの演題も含め、30題近くの口述・ポスターセッションが行われました。会の最後には優秀演題賞が発表され、タントックセン病院(シンガポール)のラーマ氏、パティール大学(インド)のタクル氏が表彰されました。

カンファレンスの前日に行われたワークショップでは、離床時に必要な呼吸デバイスが取り上げられ、実際に体感するだけでなく、離床時の留意点に関するレクチャーも行われました。

マレーシアでは、まだ十分に各病院で離床が進んでいるとは言えない状況で、会場からは、「まだ離床始めたばかりなので、どのようにチームをまとめていけばよいのか」、「周囲のスタッフの理解が得られない場合に、どうしたらよいのか」といった、現場からの切実な質問が多く寄せられ、その度に、世界の各プロフェッショナルから、具体的な回答がなされました。質問者からは「明日病院に戻ったら早速実践したい」といった声も聞かれ、大変有意義な時間になったようです。

同じアジアの国であっても異なる問題がありますが、それを解決しようと努力する心は、どの国の人も同じなのだと実勘したカンファレンスとなりました。世界の最前線と、異なる文化と共通の想いを感じることのできる国際カンファレンスに、是非、参加してみてはいかがでしょうか。