早期離床の国際会議 「The 4nd Annual Conference on Early Mobilization& Rehabilitation in the ICU」が 2018 年 6 月 9 日に中国北京で開催されました。今回は中国の呼吸リハビリテーション学会と合同開催され、前回同様多くの方が参加し、非常に高い関心が寄せられました。
今回の会議はアメリカ、ドイツ、デンマーク、ベルギー、オーストラリア、シンガポール、韓国、日本、中国とアジアに留まらず世界各国の早期離床の専門家が集まり、早期離床に関する講演が行われました。
大会委員長 GuangxiLi氏 副委員長 HongmeiZhao氏
午前中は、「ICU における早期離床の今後の方向性」について各国の専門家による特別講演が行われ、活発なディスカッションが行われました。
昨年に続き特別講演の講師・座長を務めた D.Needham 氏(座長:左 D.Needham 氏,右 Guangxi Li 氏)
(左)特別講演:重症患者おける呼吸リハビリテーションと呼吸器離脱について講演するRik Gosselink 氏
(右)看護師の役割について講演する Peter Nydahl氏
D.Needham 氏の特別講演では、2018 年 PADIS Clinical Practice Guidelineについて世界に先駆けて発表されました。このガイドラインは、2013 年Society of Critical Care Medicine(SCCM)PAD ガイドラインを基に作成され、疼痛・鎮静・不穏に加えて、不動・睡眠障害の 2 つのトピックスが追加されています。PADIS ガイドラインの特徴は、ICU チームで行うケアを強化するために、5 つの要素に対する管理方法に特化している点です。その管理する目的には「患者中心の観点」で考えられたガイドラインを作成することが挙げられています。今後は、効果的なケアを提供するため、この PADIS ガイドラインを参考にする施設が増えることが期待される講演でした。
(左)ICUにおける高齢者の早期リハビリテーションについて講演する 小谷透氏
(右)チームコラボレーションについて講演する 曷川 元 氏
午後からは各セッションごとに会場を分け、内容を ICU の早期リハビリテーションだけでなく、多職種による離床への取り組みや離床に対する多職種の役割について多くの職種から報告されました。また,人工呼吸器装着患者やECMO 患者の離床時の動画も紹介され、興味深い報告が多かったのが印象的です。
年に一度開催される国際会議は各国の貴重な意見交換の場となっています。今回のように最新の情報である PADIS ガイドラインや、早期離床に必須となる多職種連携ついて報告が注目され、例年アジアだけでなく、世界各国からの参加者が増えており、期待が大きい会議です。次回カンファレンスは 2019年マレーシアにて開催予定です。